平成二十七年九月場所初日観戦記
そ の 十四(平成27年 9月13日)
滅多矢鱈に見られない、白鵬の完敗相撲。筆者も10年半ぶりである。眼下に渦巻く座蒲団の嵐、その中を白鵬は動揺もそのままに土俵を下りる。 白鵬の動揺が館内の動揺めきを増幅させる。隠岐の海は分厚い懸賞の束を受け、この日の英雄となって引き揚げる。
この中で弓を振る聡ノ富士は辛い。まず弓を返して、それから手の位置を変えて振ろうというその端、弓の左端に座蒲団が絡みつく。 あと 1秒遅ければ、弓が吹っ飛んでいくか、はたまた折れてしまうか、まさに座蒲団は兇器である。
騒ぎが収まったとは言い難いが、これで打ち出し。土俵を守る若手年寄、かの豊真将も、若の里も、そして旭天鵬も。 向正面の砂かぶりは旭天鵬の撮影会となり、照明が弱められるまで延々と続いていた。
観衆の盛り上がりは大変なものだったが、相撲そのものは比較的淡々としており、平凡な印象だった。そんな中で結びの波瀾が一種のカンフル剤となって、 翌日以降、そして今後の土俵を左右することになればと思いたくもなった。
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