平成三十年九月場所初日観戦記
そ の 六(平成30年 9月 9日)
十枚目の土俵入りは 2時 5分の予定だった。しかしその時刻には里山が相撲を取っていた。押しに押したり土俵の進行、この観戦記も押しに押す。初日の幕下は材料豊富。
安芸乃山の叩きにつけ入って猛然白房に押し込んだ富栄、廻り込まれて右足が二度俵を越える大ピンチ、二度目はかなり大きく足を出し、危うく蛇の目を踏みそうになったが、 よく体を廻して右から撥き、大逆転で大喝采。
十枚目土俵入り前最後の一番、東に蒼国来、西に慶天海。立ち上がってからは地味な突っ張り合い、探り合いといった感じだった。 ところが蒼国来が左で首を押さえつけると慶天海は両手をベッタリと土俵に着かされ、そのあと蒼国来が右後ろ褌から出し投げを打つと、 そんなに力を入れて打った投げにも見えなかったが、慶天海は向正面にすっ飛んで土俵にめり込んでしまう。蒼国来は「何かあったの？」とでも言いたそう、 目で相手を追うわけでもなく、さっさと東の二字口に戻ったのだった。
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