令和三年五月場所七日目観戦記
そ の 十二(令和 3年 5月15日)
剣翔−玉鷲は激戦、差して出たい剣翔を押し返した玉鷲、逆に玉鷲が攻勢に出んとするのを剣翔左おっつけで去なして左四つに持ち込んだ。 左四つだと玉鷲も取れる。まずは左掬い投げで振りながら剣翔の左肩を押し下げて振り解こうとする。これは常套の手といえるが、剣翔ぴったりと胸を合わせて離れなかった。 ここで玉鷲、なんと担ぐような浴びるような右の小手投げ、これがまさに大失敗、剣翔モリモリと赤房に迫った。玉鷲両足とも俵、背後は千仞の谷といったところだが、右で抱え込んで左差し手を突きつけ、 右への打っ棄りの構え。剣翔は左足があと半歩出ていれば寄り倒せたはずだが、体が伸びてしまった。玉鷲左を深くして寄り返しながら、右上手を探って取った。 片手万歳の剣翔、急転して窮地。体を開いて左下手投げに打って出る。しかし玉鷲、右の力は一級品、抜いたる秘刀の右上手投げ、剣翔を間一髪仕留めた。 数度顔を朱に染めた玉鷲、額を紅に塗った剣翔、16秒の激闘は玉鷲に凱歌。
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