令和六年七月場所初日観戦記
そ の 五(令和 6年 7月14日)
黒姫山は、祖父黒姫山の四角い固太りとも、父羽黒灘の巨体とも違い、まだ細身といえる体格。立ち合いに当たり負けたが、 去なして大きく崩し猛然と突っ張って勝負を決める。この場所 6勝、徐々に力はついている様子。
草野は令和 5年の学生横綱、前場所幕下最下位60枚目格で初土俵を踏んで 6勝を挙げている。気になったのは非力と左脇の甘さだった。 立つなり左上手を取ったが深くてすぐ外れ、右を差したが頭をつけられて苦しみ、数度起こそうとして果たせず、 無理に二本差しにいって極められ、さらには背を見せる有様。向き直って左を取るも引きつけが甘く、右を殺された上に上手も切られ、 最後には大野城に乗り上げる恰好で黒星だ。大野城がしっかり取ったという評価も当然できる一方で、草野は取り口に理がなかった。
筋骨隆々の宮城にとって、この日は二所ノ関部屋から独立した中村部屋の初土俵である。それはこの場所関取に昇進した嘉陽も同様。 宮城は春山の突きを巧みに掻い潜って左を取り、鮮やかな出し投げ、お見事。
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