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| 令和５年大相撲 | 函館場所 | 観戦記(二) |  |
| 幕下以下取組〜土俵入り |
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取組開始は11時50分、序二段から幕下までの取組は計27番だ。最初は東から幸奄美(ゆきあまみ)、西から勝桂馬(しょうけいま)、すんなり左がっぷり四つに組んで長身幸奄美の勝利。
幕下の３番目、新型コロナウイルス感染症の後遺症で苦しんだ朝乃若が巨漢安房乃国と対戦。この場所は幕下から塩を撒いている。
朝乃若右腕をたたんでかち上げ気味の体当たり、次いで左に飛んで上手を求め、そのまま廻り込んで安房乃国の背につくが、自分で右に転んで敗戦。
まぁ、これも巡業相撲というものである。
幕下最後の一番、東から日大出身の尊富士、タイトルは取っていないが地力はあって、入門から１年余で幕下上位に進んで、次は関取の座を狙う秋となる。
左を固めながら右肩で当たって右下手、左で相手清乃海の右を殺しながら機を見て左で前褌、右を返しての寄りで勝つ。
この一番だけで分かるものでもないが、盛り上がる上体に比して脚が細いのと、柔軟性があまり見られないのがちょっと心配だ。
ここからが巡業の呼び物、お好みということで、まずは髪結実演。モデルが北青鵬で床山は床竣の宮城野部屋コンビ。
大銀杏を結えるようになるには５〜10年かかるといわれるが、床竣は平成最後の床山採用者、まだ４年半しか経っていないのだから立派なものだ。
四等になるには５年以上務めなければならず(特に成績優秀だと、規定上は五年で三等になることもできる)、まだ五等床山だ。
北青鵬と床竣は１歳違い、仲が良さそう。髪を揉む癖直しといい、櫛で梳くのといい、元結を引っ張るのといい、床山は力仕事だ。
相撲甚句は、北大地・勇輝・琴ノ藤・栃岐岳・和歌桜・朝天舞・美浜海という陣容。朝天舞は割紙に出ておらず、勇輝に位置取りを教わった。
たいてい４曲であるところ、今回は「浮雲」「数え唄」「花づくし」「蛙づくし」「当地興行」の５曲という大サービス。
続いて初切、東は福々しい道産子、札幌出身の千代北海、西はソップとまではいえないが巨躯でもない千代天富。行司は三段目行司・式守誠輔。
まずは千代北海が掌に山のごとく塩を盛れば、千代天富は塩籠を持つ。故人となった勝武士は塩籠を大きく振りながら撒くのは一つまみで笑いを取っていたが、
こちらの千代天富は正攻法、盛大に撒いた。仕切りの位置で揉めたり、はっきりしない待ったで揉めたり、長いと自称する足で蹴倒したりというのは、
これまでも見られていた流れだ。
鮮やかな跳馬に始まった大一番は、大たぶさを引っ張った豪快な引き落としで圧勝…したつもりの千代北海が取り直しを宣告され、
軍配を奪いにいって逆に捻り倒される。この次の流れは、新型コロナウイルス流行前は水を吹きかける攻撃だったが、今は塩をぶつける形に変わっている。
右四つに組んであちこちで写真に収まろうとしたり、右喉輪で詰め合ったり、外無双まがいで揉めたりしたあとにボクシングになるのは例の流れで、
最後は行司に平手と諭され千代天富の右突き落とし、まだ喰い下がろうとする千代北海にラリアットを見舞って千代天風に勝ち名乗り。
烏帽子を落とすささやかな抵抗を千代北海が見せ、これにてめでたく？大団円。
櫓太鼓打分は、幕内呼出し・利樹之丞。寄せ太鼓・一番太鼓・はね太鼓と打たれている間に、東西の花道に関取が顔を揃える。
土俵入りは、「関取衆土俵入り」と称された。東の先導・秋治郎のうしろ、よく稽古をした獅司の長身が後ろの力士たちを覆い隠す。
ペコちゃんの化粧廻しをつけた正代が、ペコちゃんのミニ化粧廻しをつけた幼児を抱いて土俵に上がった。ちなみに、平成28年の函館場所でも正代は幼児を抱いている。
豊昇龍はこの巡業限定「新大関」の紹介。千代の海・千代栄の九重部屋コンビが先頭を切る西は、
雲突く長身・北青鵬が赤房下、つまり筆者の席から最も遠いところに立ったので、正面に固まった熱海富士・輝・碧山の方がでっかく見えた。
しかしこちら側に歩いてくると、やはり北青鵬は大きい。すぐ後ろが阿武咲、身長差実に27cm。余計に北青鵬が大きく見える。
その北青鵬に限らず、西方力士は東と比べて愛想が良く、手を振る力士が何人もいた。
体調不充分ながら巡業に帯同している横綱照ノ富士、割には入っていないので、横綱土俵入りが最後の見せ場だ。この日は稽古土俵に立たず、
綱〆実演もなかったので、唯一の登場ということになる。横綱昇進当初と比べ、柏手の腕の動きが小さくなり、土俵中央で柏手を打つときと、
せり上がった直後とで腕の広がりに大差がなくなった。また、せり上がりに入るいわゆる「下の構え」の恰好は、前傾がやや浅くなり、両腕が高すぎなくなったようだ。
照ノ富士は淡々と土俵入りを行ったが、向正面から土俵中央に戻って蹲踞した伊之助はバランスを崩して後ろに２度跳んだ。
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