平成二十九年十一月場所二日目観戦記
そ の 十六(平成29年11月13日)
結び前、阿武咲に稀勢の里、両者腕を伸ばして胸の前、乾いた音を同時に響かせた。初日によろめいて敗れた稀勢の里、初日に横綱を喰った阿武咲、 稀勢の里危うしと思われたが、当たり合ってみると、当たり勝ったのは横綱で、阿武咲は受け止められて左足が流れ、あっという間に四つん這い。 結局最後まで持たなかった稀勢の里だが、この日はごく僅かに一息ついた。
結びの一番、白鵬左で張って右でかち上げると玉鷲これを堪えるが、ここで迷ってしまう。白鵬左を取って出し投げ、あっさりと勝負をつけた。
相撲内容が濃かったとまでは言えない 2日目だったが、聡ノ富士の弓取が引き締め、これで打ち出し、あとは帰るだけ…と思って起きた翌朝、 報じられたのは日馬富士による傷害事件だった。どんよりと霞んで見える福岡国際センターを眼下に九州を離れた筆者。 日馬富士は11月29日を以て引退(安美錦の土俵入り姿を出したのは、日馬富士の化粧廻しを締めることがもうないから)、 4横綱時代なんて長く続くもんじゃないとてこの 2日目、湯呑を買い揃えたのだが、まさかこの日が事実上の終焉になろうとは。 嗚呼悲しき歴史的な一日。
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