平成三十年九月場所初日観戦記
そ の 十七(平成30年 9月 9日)
ところがである。逸ノ城が肩越しに左上手を取ったとき、遠藤にしては寄り方がまずかったというべきか、誘われるような寄りで体が伸び切ってしまった。 逸ノ城強引に右を巻き替える。遠藤嫌って体勢を下げたが、右腰を寄せるのではなくて単に腰を引いただけ、左前褌を探っていると、逸ノ城の左上手投げが飛んできた。 左を取った遠藤だが体勢が壊れて左を離した。逸ノ城は反対に左に透かした。ここまでされると遠藤は堪えられない。向正面に伸びてしまった。 ともあれこれだけの相撲を見せてくれれば、両者に好成績を期待するのが好角家の常。相撲は難しいとは力士の常套句だが、それは見る側にとっても当て嵌まることで…
三役で初めて二桁勝ち、優勝のおまけまでついた御嶽海、ツラ相撲の傾きがあるだけに、地力がどれほどかが試される秋の土俵である。 初日、押しやすくはあるが曲者でもある正代が相手、流れるような動きでは全くなく、左右のおっつけから左喉輪で必死に押し上げ、突っ張りで攻める硬い取り口。 よく見て取ったと評すべきか、緊張のしすぎと見るべきか、判断に困る滑り出し。
前回の観戦
から 5場所、平幕だった栃ノ心が大関になり、そしてカド番になった…。右足親指の故障なので、左で踏み込む栃ノ心にとっては極めて厄介。 そういう意味では、右肩で当たってくる千代大龍相手だと、どちらかというと左足で踏ん張る形になるので何とかなるというところか。 二度三度はね返して右から左と両下手、赤房で吊って片づけた。
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幕内取組・五
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