平成三十年九月場所千秋楽観戦記その十五

平成三十年九月場所千秋楽観戦記
そ　の　十五(平成30年 9月23日)

　大関栃ノ心はジョージア出身、懸賞は缶コーヒーのジョージア。栃ノ心はヨーロッパのジョージアで、コーヒーはアメリカのジョージア。英語表記は全く同じだが、両者には何の関連もないらしい。

　右四つの栃ノ心と左四つの髙安、相撲内容は全く意外なもので、栃ノ心の物凄い右おっつけ、髙安は頼みの右足が流れて後ろ向きになる。この日のキーの一つは右おっつけなのかもしれない。栃ノ心は矢を下から掬い上げて取る。昭和55年に当時の春日野理事長(栃錦)が記者に述べた受け方であり、春日野部屋の大関ゆえにこの受け方をするのは寧ろ当然といえようか。

　10勝の稀勢の里と11勝の豪栄道、どうにかこうにか皆勤できそうという横綱と、場所前から好調を伝えられた大関、その差が如実に出た一戦となった。立ち合いから鋭さが違いすぎ、稀勢の里も髙安のように右足が下がって横向き、ゴロリと崩れ落ちた。

　東西正横綱が相見える結びの一番、東に鶴竜、西に白鵬。勘太夫のぶつ切りの触れは全く聞こえない。16年 5月の初日、白鵬の幕内 1勝目を筆者は見ている。即ち、その後白鵬が勝ち取った白星は実に999に達するわけだ。記録は実に大きなものである。
(以下次頁)

幕内取組・六

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