令和三年三月場所千秋楽観戦記
そ の 四(令和 3年 3月28日)
今回の相方は、松鳳山の相撲が見たいとの仰せ。その松鳳山が西の控えに姿を見せる。
土俵上、膝に塩を振りかけるのは、 4日目から白星のない矢後。相手は幕下の竜勢、別に入れ替え戦でもなんでもなく、 どうやら矢後の成績に釣り合う対戦相手が十枚目にいなかったということらしい。竜勢ここまで 1勝のみ。矢後の立ち合い、膝の自由が利かないようで、 両足とも浮いてしまっている。その後の足運びも全く覚束なかったが、主に左おっつけを効かせて竜勢を懐に入れなかった。
さあ松鳳山の出番。一段低く構えて左から入ろうとする松鳳山、突き上げられたが左で押さえ、勘所を心得た右への変わり身、 冷静に仕留めて実に16か月振りの勝ち越し、前回の勝ち越しは幕内の 8枚目、この場所は十枚目の 8枚目、 1年余の負け越しの割には粘っているようにも見えるが、 粘るだけでは物足りない。金星 5を誇るファイターは、まだまだ燃えている。
この場所、幕内の優勝争いも些かややこしいが、十枚目は最大 6人の決定戦の可能性があり、縺れていた。 その糸がほぐれるかどうか、鍵を握る一番手、 9勝 4敗 1休と成績もややこしい宇良の出番がやってきた。
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