令和三年三月場所千秋楽観戦記
そ の 六(令和 3年 3月28日)
炎鵬は中盤までは大元気だったが、左肘を痛めたようで終盤にすっかり崩れた。上に 3枚残して既に 6敗もしていると、よほどの運に恵まれないと幕内復帰とはならないだろう。 相手、若元春は、体つきから鋭く動きそうに見えるが、その実受け身の相撲が目立つ。恐れた訳でもあるまいが、その場で左を差そうとする消極的な立ち合い。 炎鵬願ったり叶ったりで、右に廻り込んで左足を持ち上げる。足を抱えていたのは左腕だけだから、小股掬いとの中間のような形。これで若元春を仕留めた。 若元春、宙に浮いてから逞しい右腕を見せつけても遅いのである。
十枚目優勝の帰趨を決めるか、はたまた 5敗の線に下げてしまうか、注目の一番は、東に 5敗の千代丸、西に 4敗の白鷹山。 千代丸得意の両手突きから突っ張って先手を取ろうとするが、左肘を上げられた。白鷹山の備えが堅固。押し返された千代丸、これも得意の身のこなしで廻り込んでいくが、 白鷹山落ち着いて攻め入り左の筈、重いはずの千代丸も右足が浮く。白鷹山、溢れる力感で千代丸を退け、十枚目優勝を我が手に握った。
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十枚目取組・三
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