令和三年五月場所七日目観戦記
そ の 十六(令和 3年 5月15日)
豊昇龍が踏み込んで貴景勝の当たりを喰い止めるかどうかに注目した一番だったが、豊昇龍は右上手を求めて右に廻った。ところが貴景勝が鋭く反応、 すぐに右に体を廻したものだから、豊昇龍は右前に出したはずの右足が引けてしまい、叩かれて潰れてしまった。豊昇龍は考えすぎたようだ。
出足のある妙義龍を相手に、朝乃山はさぞや低く鋭く踏み込むのかと思いきや、膝が伸びて腰もグッと入らず、極端に言えば右肩を出しただけ。 相四つなので右四つにはなれるが、その右をおっつけられて苦戦、おっつけようとしたり抱えようとしたりと、左でどうにか妙義龍の動きを封じようとするが、 それが精一杯で右差し手も抜けてしまう。最後に妙義龍が左から攻めて出んとするところ、左から引っ張って右を入れ、大きく掬い倒したが、ただただもたついているだけだった。
勝ちっ放しの照ノ富士は、この日が隆の勝戦で翌日が大栄翔戦。容易ならざる相手が照ノ富士の征く手を阻まんとしている…かのように見えたが、 隆の勝が右喉輪で押しても照ノ富士動ぜず、一度目の左上手狙いは隆の勝が右腕を伸ばすと却って隆の勝自身が下がってしまったので遠くなったが、 二度目で取って青房に驀進、隆の勝が左に逃れると左おっつけで圧力を掛けて潰してしまう。大変な迫力、これは朝乃山に望まれていた相撲でもあった。
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幕内取組・五
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