令和四年一月場所初日観戦記
そ の 十一(令和 4年 1月 9日)
東の花道、深々と腰を折るのは魁勝だ。
全く予期していなかった、不戦の触れ。この 2年ほど場内放送では休場理由を言わなくなってしまったので、水戸龍持病の腰痛かと思ったが、 部屋のおかみさんが新型コロナウイルス陽性反応を示したことのよる休場だそうだ。なるほど場内放送で説明するのも難しそうだ。
朝乃若の締め込みは腰の位置がかなり高いように見え、ハイウエストと言って笑う我々。懐の深い東龍が朝乃若の左おっつけを堪えて引いた。 そのタイミングは完璧だったが、東龍は左右への動きを忘れた。朝乃若つんのめりついでにぶちかまし、見事に押し出した。
魁勝も荒篤山も相方のご贔屓、一方を採るならということで選ばれたのは魁勝だった。その魁勝、赤房下に進むうちからもう柏手の構え。 あれだけ折り目正しく礼をする魁勝にして、このせっかちなこと。その魁勝、荒篤山の左喉輪突きを喰らって腰砕けになった。
どこか
で見たことがあるこの恰好。しかし魁勝持ち堪えて左から去なした。勢い込んでいた荒篤山、目の前に突如客席が現れ、 押し上げられて敗れた。魁勝、深々と礼をして、花道を引き揚げた。
(以下次頁)
十枚目取組・三
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