令和五年九月場所初日観戦記
そ の 十八(令和 5年 9月10日)
結び、霧島と翔猿はこれまでほぼ互角の戦績。そもそも翔猿は横綱大関戦で比較的白星を挙げている人、だから堂々三役を張っているし、 前場所は当たった上位 2人(照ノ富士と霧島)いずれにも勝っている。貴景勝ともどもカド番の霧島としては、初日早々容易ならざる相手である。 とはいうものの、照ノ富士の休場で、通常の取組編成だと出場最上位者の初日の相手は小結のいちばん下なので、それを知っていれば心構えもある程度はできようというものだ。
立ち合いは両者ともやや右に立っての左の突きだった。その後は霧島が見すぎない程度によく見た。頭を下げる翔猿を左に叩き、次いで右手で翔猿の左肘を撥き、 右外筈で攻めて起こし、そして両差し、完全に抱きついたあと左で下手、右から掬って追い込んで右下手も取り、逆に左から少し吊って仕留めた。 派手ではないがよく攻め、面倒な相手を退治して初日の土俵を締めた。
弓取は聡ノ富士、この場所は皆勤しているが、 2日目まで弓を振って 3日目から勇輝に交代した。いつもながらの豪壮な弓取である。 1月から規制退場がなくなったので抽籤会もなくなり、昔に返った。しかし土俵を守る親方衆には、千代の国(佐ノ山)・石浦(間垣)・明瀬山(井筒)といった新顔が。こうして時は移りゆく。
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