令和六年七月場所初日観戦記
そ の 十八(令和 6年 7月14日)
上体を立てて右を差しにいった豊昇龍だが左上手を引かれ、がっぷりを嫌って右半身になり、右下手投げやら右内掛けやらと動いてはみたものの、 熱海富士に難なく残された上に右下手前褌も与え、青房に屈服した。これで 3場所連続初日黒星、右下手を取ることが目的化しているように見える。
琴櫻となって 2場所目、初日の相手は前場所と同じく大栄翔で、前場所と同じく黒星だった。大栄翔が当たるなり右に廻って左喉輪で突くと琴櫻は腰が後ろに落ちてしまい、 上から引っ張ってばかりで良いところなし。
ここまで大関 3人すべて黒星である。前場所初日は大関 4人すべて黒星だったばかりか、横綱まで敗れて始まった。結びの照ノ富士−平戸海は、 横綱が左を取れず、強引に左小手投げで白房に倒そうとしたが、平戸海堪えて低く喰いつき大善戦、やっと照ノ富士肩越しに左上手を取って起こし制圧、前場所の再現を辛くも免れた。 横綱の臍に平戸海が喰い下がるその形は、明治末の横綱常陸山−玉椿戦の写真に似ていなくもない。
弓取式は聡ノ富士、暑い名古屋の大型扇風機…というのはあまり良い形容ではないが、鮮やかな弓捌きが一服の清涼剤であることは間違いなかろう。 そういえば、あくまで筆者の体感だが、冷房は最後まで効いていた。湿度は高かったが気温は28℃止まりだったということもあるのだろう。 筆者にとって、愛知県体育館とはこれでお別れ。はるかに大きくなる新会場には、いつ行けるだろうか。
幕内取組・六
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