平成二十七年七月場所八日目観戦記
そ の 七(平成27年 7月19日)
幕下上位 5番の 2番目、東から登場は竜電である。24年11月に関取として土俵に立つも、右股関節の故障で途中休場、翌場所皆勤のあとは途中休場と全休とを合わせて 9場所連続休場となり、 そこから再起して盛り返したところである。関取復帰というところまでの力を取り戻してはいないが、長期休場を余儀なくされながらここまで戻ったことは偉とするに足る。
5番目の東は旭大星、突っ張られて指が左目に入ったようだが、サッと左から去なして崩した。東 4枚目の旭大星はこの場所 5勝を挙げて、晴れて北海道巡業に関取として出場することになった。
腰も膝も足首も不調の翔天狼、窮余の一策立の右腕を右で払いのけて倒したが、物言い。「地球の重力を全部引き受けたような」と言われたのは高見山だったが、 立の落ち方はそれを倍にしたような感じ、翔天狼救われて 4勝 4敗の五分。巨体の立は極度のＸ脚、今後が非常に心配される。
阿炎の四股に館内沸いてしまったが、これが果たして四股なのだろうか。途中まで足を上げるや膝裏に手をやって引っ張り上げるのは四股ではない。
片山
のときにも同じことを書いている。加えて阿炎は上体が下がりすぎていて、重症だと感ずる。 立ってみると足の動きは柔軟でバタ足にはならないのに、腰がいつも浮いていて引け気味で、最後には突っ立ち割り箸同然になった。 戦前、天才少年ヴァイオリニストとして華々しく活躍していたメニューインについてイザイが、「ヴァイオリニストとしての将来性はない。 もう手遅れだ」と痛烈な評を与えたという。筆者にはよく分からないけれども、奏法の基礎が欠けていたためだそうだ。 阿炎をどう断ずるにせよまだ早計ではあるが、将来同じようなことになって欲しくはない。
(以下次頁)
十枚目取組・一
前頁へ
前画面に戻る
次頁へ
