平成二十七年七月場所八日目観戦記
そ の 十七(平成27年 7月19日)
関脇同士の一戦は殆ど相撲にならず、栃煌山の突き落としで逸ノ城揺らめいて脇がら空き、軽く浮いて負けた。立ち合い直後の恰好を見ても、右を固めているだけで何をしたいのかが分からないし、 この足の配りでは体を支える腰がないというのも曝露されている。
豪栄道は琴奨菊相手には比較的両差しになりやすく、なれなくても右に廻っての崩しが速かったのに、どうやら両差しに拘りすぎたようだ。 何をやっても右が入らないのでパニックになっている。そうするうちに体勢が立ってしまった。
踏ん張りが利かず苦しむ安美錦、この体勢は願ったり叶ったりというべきもので、「絶対」と言っても良さそうに思えたが、左を引っ張り込まれてしまった。 とはいえ、動きがもたつく稀勢の里を引っ張り廻してこの恰好を築くのは匠の技。
右相四つならば大関も何するものぞと栃ノ心、右を大きく返して攻め、上手を取られても一重なのを利してなお攻め激戦にしたが、 照ノ富士の腹芸も堂に入ったもの、この形なら右外掛けは届かないし、左外掛けは効かないのでさほどの危なげはない。とうとう左上手を充分に取り直して新大関の力を見せた。
(以下次頁)
幕内取組・五
幕内取組・六
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