令和二年十一月場所初日観戦記
そ の 八(令和 2年11月 8日)
常幸龍の両差しを貴源治が極めようとする長い相撲、我慢比べの展開だが、右差し得意の常幸龍の右は生きていた。貴源治は左で肩越しの上手、 これは悪手としか言いようのない安易な手だった。深みのなさが気になる。
旭大星が塵を切る。明らかに右足に体重が偏っている。案の定左足が使えず、はじめは頭を下げて上手を求め、次いで突っ張ろうとしたものの、 簡単に土俵を割って相撲にならず。
軟体力士千代鳳、かくも体がよじれても、どうってことないという感じで相撲を取っている。だが美ノ海は、千代鳳がどう出るかを知り尽くしているかのよう。 よほど取りやすいと見える。
大奄美は左から右と入れたが腰が高すぎる。しかも右四つの大奄美なのに右が覗いただけで無理に出ていき、ゴロリと倒れる。 錦木が左に下がったあと右に動いて右の小手投げを打つというのは、陳腐に近い常套手段なのだが、これが通じてしまうのが十枚目の土俵ということか。
(以下次頁)
十枚目取組・二
十枚目取組・三
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