令和三年五月場所七日目観戦記
そ の 十(令和 3年 5月15日)
東正大関の朝乃山は、確か次の横綱と目されていた力士だが、明らかに伸びが止まった。自分の立ち合いがどれほどの威力を示している(いない)のか、 把握できていないように思える。西、こちらの真正面に立っているのは照強、頭一つ分小さい。その向こうで北勝富士、一人うるさい動きを見せる。 すぐ隣の大栄翔は当然退場にかかっているが、北勝富士のせいで詰まっている。大栄翔の後ろは返り大関の照ノ富士。馬簾が紫色の化粧廻しは、 元大関も使えるが、大関として堂々これを用いる。
顔触れ言上はこの日も41代伊之助。最後の口上はこうなった。「右相務めまする間、厚誼の程、偏に願い上げ奉ります」。 観客数を絞っている現状では、従来の「明日も賑々しく、おいでをお待ち」とは流石に言えないと考えたのだろう。 伊之助の工夫にはこれまで賛同できた覚えがないが、今回のものには頷けるものがある。
「申し上げ奉ります」
となっていたのも解消された。
中入後取組、ますますコブが目立つようになった石浦は、このコブをフル稼働させて千代ノ皇の右差しを殺そうとしたが、 最後にガバと返され力尽きた。左からの攻めが主軸になってはいるのだが、拘りすぎるのか単調な取り口になり、生かし切れていない。
パンの山こと、明瀬山。塩をすり込む。今日の特売は塩パンか。
(以下次頁)
幕内取組・一
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