令和四年一月場所初日観戦記
そ　の　一(令和 4年 1月 9日)
　 2年振りの初場所初日は見事な快晴、陽光は背後から国技館を包み、かつビルからの反射で正面も照らされる。このように明るい 1年になるやらどうやら。

　しかし、不安が過ぎる。感染者数が急伸を見せていた。また前年 5月の序盤みたいに無観客開催を余儀なくされなければ良いがと願った。 場所数日前までは座席で軽食が摂れるような案内であったはずが、前日に再確認してみると、飲食は指定場所のみという元の形に戻ってしまっていた。 とはいえ、好角家としては場所入りできた(そしてこれを書けた)ことに感謝しなければ。ついでに数字を見てみれば、これを書いている 2月半ばから見て、 初場所初日の東京都における陽性確認者数はおよそ15分の 1だった。

　おまけに東京は 3日前に大雪が降り積もった。行けるやらという心配もあった。中 2日で解けたとはいえ、日蔭にはしぶとくも氷が張っている。 道産子にとってこれぐらい…と言いたいところだが、滑るものは滑る、無理なものは無理。

　この場所、開場は久々 2年振りに朝早く、 8時半。筆者勇躍して出陣だ。幟が眩しい。いちばん右端、この場所で見納め、琴風の尾車部屋の幟である。 そして木戸に近づくと、照ノ富士の幟。 2年前、蘇った照ノ富士の幟を見て感激したものだが、今や「横綱」を冠した幟が目の前に。

　 8時20分、初春の空に冴えた撥音、軽やかに響く。ああこれでこそ両国だ。気分が乗ってくる。相方も着いて、門松のまします木戸へ。
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