令和四年一月場所初日観戦記
そ の 十六(令和 4年 1月 9日)
琴恵光下がりながらも右を入れて突きつける。碧山乗りかかって出足を止められる。逆襲の出足、これも琴恵光の相撲だ。
栃ノ心は左を取れない相撲が増えて負け越し続き、この 1月まで持ち堪えてくれるかも不安だったが、大敗せずにどうにか幕内に残っている。 この日の栃ノ心は十八番の相撲、剣翔口あんぐりで落胆の表情。
新入幕の若元春には道産子の一山本、筆者としては一方を選びかねる割である。だいたいの力士は相手からなるべく目をそらすまいとするが、 一山本は視線があちらこちらを彷徨う珍しい相撲取りである。それでも時間いっぱいになって腰を割るあたりから眦を決して表情が引き締まるから不思議なものだ。 この一番、一山本が突っかけてやり直し、そうすると一山本の表情は元に戻ってしまう。再度引き締めて一山本、幕内力士としては年季が違うとばかり突き上げたのだが、 その左腕を引っ捕らえられたところで早くも暗転、若元春の流れに引き込まれた。若元春左下手に次いで右上手、スーッと出ながら左右と揺すり上げて寄り切る。 鋭くて滑らかな若元春の攻め。
(以下次頁)
前頁へ
前画面に戻る
次頁へ
