令和四年一月場所初日観戦記
そ の 十七(令和 4年 1月 9日)
千代丸は蝶のように舞ったのだが、蜂のように刺した先は土俵だった。引き落としのタイミングは絶好だったのに。負けて引き揚げる千代丸が、 至近距離を過ぎていく。その腹の曲線美、これぞアート？
この時間、東花道の奥から叫び声が聞こえる。千代鳳は引退したしなぁと割紙とにらめっこ。たぶん千代の国なのではと考えてみたり、まだ早くはないかと思ってみたり。
前場所肩越しの両上手で抜き上げられてしまった石浦は、流石に考えて潜りにいかず、左から起こしにかかった。 照強はこの左を気にしているうちに右の出し投げを喰い、あっという間に崩された。この両者の智慧比べは、これからも続くのだろう。 勝った石浦が土俵をおりたとき、東の花道からは、「ぐゎっし！」という叫び声と、ボンボン廻しを叩く音。やっぱり千代の国のようだ。
天空海は相撲を覚えられた。かましと右掛け投げを喰わなければいいと。佐田の海の四つは右だが、この左の返しは見事、再度の掛け投げを待ち受け豪快な掬い投げ。 かれこれ30年前、貴闘力が琴椿を二丁投げで叩きつけたときであったか、小錦が花火みたいだったと言ったのを思い出した。
(以下次頁)
幕内取組・二
前頁へ
前画面に戻る
次頁へ
