令和五年九月場所初日観戦記
そ の 十五(令和 5年 9月10日)
3年前、正代の馬力には凄まじいものがあった。その年は、琴ノ若新入幕の年。いま、琴ノ若の馬力は正代を超えている。 正代は琴ノ若の突っ張りを堪えて右を入れた。琴ノ若も右を覗かせた。ここまでは正代の方がいくらか体勢が良かった。 だが正代はすぐに左を巻き替えにいった。それは仕掛け不足で無茶だった。琴ノ若得たりと驀進、左おっつけで寄り切った。 琴ノ若が関取になった頃、両差し狙いが果たせなくて四つ身でもちゃもちゃ取るのかなと思っていたし、 その後もやや横にずれて立った方が自分の流れに持ち込めるような半端な相撲振りが目についたが、こういう成長をするとは。
今の朝乃山の実力が若元春より上とは全く思えないが、若元春の取り口が朝乃山の好餌になっている。 右で抱えながら左でおっつけるのだが、朝乃山は左も腕が返るし、そこで若元春がおっつけ切れなくて廻しを探るのでますます朝乃山としては楽になる。
大栄翔は立ち合いに変わられ、残しかけたが両手から落ちた。無理に左足で踏み止まるよりも足を運んで体を廻した方が良かったような気がするが。 これは落ちる方が悪い。
(以下次頁)
幕内取組・五
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