令和六年七月場所初日観戦記その十六

令和六年七月場所初日観戦記
そ　の　十六(令和 6年 7月14日)

　ところが宇良は西にしっかり腰を据えて阿武咲を喰い止める。阿武咲追って攻めようとすると、宇良左に廻り込み、右腕を引いて阿武咲を仕留めた。阿武咲土俵に這って動けず、座り込んで暫し立たず、赤房下、呼出しの肩を借りて土俵を下りた。

　豪ノ山の突撃は凄まじいものだった。それだけでなく、土俵際でしっかり腰を据え、安定感のある詰め。稽古充分ということだろう。頼もしい。

　髙安が左を差して胸を合わせる恰好になるのを霧島が避けようと激戦、髙安の左下手を霧島右上手で締める形から髙安が上手を切ると霧島右を巻き替え、髙安が左上手から振ったところ、力が抜けた髙安が黒房に飛び出す幕切れ。会場では分からなかったが、中継映像を見ると「ブツッ」という音が入っている。胸の肉離れで早くも 2日目から休場、これは厄介な負傷だ。霧島は大関から下がってすぐの場所だから、10勝すれば戻れたわけだが、 3日目から動きがおかしくなって 8勝止まり。初日を見たときはどうやら10勝には乗るだろうと思っただけに、意外な崩れであった。
(以下次頁)

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