令和二年十一月場所初日観戦記
そ の 十六(令和 2年11月 8日)
これだけ精魂傾けた竜電の大作だったが、ちょっと体の寄せが遅れた。琴恵光の右掛け投げも実は得意手だ。 琴恵光の右足が掛かったというほどではないのだが、竜電の右足は出遅れた。精魂以上に自分が傾き、僅かの差だったが先に裏返しにされてしまった。
四股を踏んだ照強がさらに力を込めるこの恰好、ついさっき、
どこか
で見たような気がする。しかし、同じ恰好のはずなのに、 こちらはいかにも硬そうだ。いっちょやってやるかと不敵な面構え、そうした不敵さがなければこの小兵が幕内を張れまい。 徳勝龍の左をはね上げて右に廻り、まあまあうまく取っていたが、その後は徳勝龍の肥躯と寿之介の装束とに視界を遮られ、どんな細工を施していたのやら…
(以下次頁)
幕内取組・三
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