令和四年一月場所二日目観戦記
そ の 十六(令和 4年 1月10日)
千代翔馬は左からおっつけんとしたが阿炎の右で顔が明後日の方を向いた。グイと手首を掴んで手繰ってみたが、阿炎は腕を伸ばしざま突っ走ってきた。 千代翔馬体を開いてとったりに変えたが、圧倒されて先に踏み出した。阿炎の突撃は素早かった。
相変わらず形の良い遠藤の四股だが、ピシッとおろすことができなくなった。この日の遠藤は左前褌から相撲を展開しようとしたが、 北勝富士がこれを切って逆に左上手から攻めた。遠藤左をこじ入れるが顎が上がってしまい、却ってふん縛られた。
大栄翔いつものように当たったが玉鷲の突きの方が強く、しまいには仰け反ってしまう。だから大栄翔逃れようとしても体勢がグラグラで、青房に飛び出した。 さすがに終盤になると急に年齢相応になってしまうのはやむを得ないが、中盤までの玉鷲は溢れんばかりの元気さ。
御嶽海は派手さはないがきちんと右を封じ、このところうまくいかないでいた逸ノ城戦を突破した。入れ込みすぎず、かといって調子をおろしすぎず、恰度良い充実度と見受けられた。
右といえば隆の勝も右を差すと強い。だから霧馬山は徹底的に左から攻めた。強烈だった。隆の勝の太い右が完全に上がった。 ところが土俵に潰えたのが霧馬山だったのだから相撲は難しい。霧馬山が左前褌を狙ったのと隆の勝が右に廻ったのとが噛み合ってしまったようで、 霧馬山は右足がついてきてくれなかった。
(以下次頁)
幕内取組・四
幕内取組・五
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